前に銀座一丁目に田んぼがあったことがあるのよね。

銀座みつばちプロジェクトと関係があったのかな? なんであんなとこでお米作ってたか、そこんとこはもうはっきり覚えてないんだけど、時々地方の野菜とか売っていて、たまたま試食させてもらったラップに包まれた小さなボール型のおにぎりがとても美味しかったことがある。

天日干しのお米といわれた記憶があり、その後そのお米が食べたくなり問い合せたらどうやら千葉産のお米らしかった。確か取り寄せてもらって食べてみたと思うんだけど、はじめた食べた時の感動にはいたらなかったと思う。

小さなボールの塩むすびを食べたときは、後味がとてもよかった。あとに残る香り、鼻から抜ける香りがこどもの頃食べたごはんの香りだった。口では表現できないんだけど、昔のお米の味ってこんなんだったよねって味と香り。

その香りは今でも記憶に残っていて、鼻の奥から離れない。

信じられないことだけど、ほとんどのお米は今天日で干したりしないんだって。刈った稲を束ねて、木の柵にかけて乾かしてってのは当たり前のことだと思っていたんだけど、そんなことをしている農家はもう少ないそうで、ほとんどが機械乾燥。やっていたとしても限られたお客様と自宅用にとっておく分だけなんだそうだ。

今週の鶴瓶の家族に乾杯で、ゲストの伊武雅刀は島根の仁多米の天日干しのお米でつくったおにぎりを食べることが目的みたいだった。仁多米はすぐ食べられたんだけど、天日干しというと難しかった。出会った農家ではお米は機械乾燥のあと脱穀されたものや、天日干しはあってもお客さん用に袋詰めされたあとで、残っているのはないといわれていた。

それでも多分新米の仁多米でにぎられた三角の塩むすびは大変美味しそうで、伊武雅刀は感激して食べていたけどね。

番組のおわりごろ、スタジオにプレゼントが届いた。なんと天日干しの仁多米を農家のかたが家で食べる分を伊武雅刀に届けてくれたのだった。それを受け取った伊武さんは、本気で涙ながして喜んでいた。天日干しのお米というのは、今の世の中ではそれほど貴重なものなのだ。

わたしはスノッブなブルジョワなので、もちろんお米もデパ地下で買う。松屋にはお米屋さんコーナーがあるので、そこで2kgずつ買っている。今食べているお米も十分お高いし美味しいのだが、やはり1丁目の田んぼでもらった塩むすびの味と香りはしない。あの時の記憶を細い糸で引っ張り出しては、それに近い味を探す旅である。

松屋のお米コーナーにも天日干しのお米があるのは知っている。玄米で1種類だけ売っているのだが、普通のお米の3倍くらいの値段なんじゃないかな。それに玄米だから精米してもらうと目減りする。そんな高いものはさすがに買えないので諦めていたのだが、先日よいことがあった。

お米についてぐだぐだ店員さんに話していると、今日は社長がいますからお話してくださいといわれ、長身のきれいな女性が電話しているほうに顔を向けた。

お米屋さんの社長というのでなんとなくおじさんかと思ったら、若い女性だったのだ。なんでもお父さんのお店を継いだということらしい。

そのかたの話によれば、やはり天日干しのお米はとてもめずらしく貴重で、お米屋さんでも入手困難なものらしい。家で食べるように干したものを分けてくれることがあるくらいのものらしい。

天日干しのお米がなぜ美味しいかというと、束にして稲穂を下にしてひっかけて乾燥させるので、稲の中の養分が下のほう、つまりお米に下がってくるのだそうだ。

しかし天日干しのお米の味と香りへの深い「執念」を語るわたしを喜んでいただけたようで、お米の日の八のつく日、ラッキーに天日干しのお米などが手に入るとお店に出すことがあり、最近たまたま熊本の天日干しのお米を生産者の人が分けてくれたので、それをとっておいてくれることになった。

伊武雅刀じゃないけど、探し求めて幾星霜?、やっと天日干しのお米を味わえる機会がめぐってきたのだ。でもタイミングよく、そのお米屋さんの社長さんと話さなければ、こんな機会はめぐってこなかったよね。

明日には手に入るわけなんだけど、果たしてあの感動の味の再現となるでしょうか?!

考えてみれば、こどもの頃のお米は今と比べてとっても美味しかったんだろうね。魚沼産コシヒカリなんて食べてたわけじゃないけど、安いお米でもわたしがこどもの頃はちゃんと天日で干していたんだろう。昔は餃子に冷ごはん食べるのがなぜか好きだった。冷めてても冷めてるなりの美味しさが当時のお米にはちゃんとあったんだろう。

キッチンが走るを好きでよく見ているが、太陽が野菜とか食べるたびに「あまーい!」という姿を見て、ほんと情けなくなる。日本人の舌は、もう甘みにしか旨味を感じられなくなってしまったのか。肉でも野菜でもなんでも甘いことが素晴らしく美味しいみたいな、甘み至上主義はほんと馬鹿らしい。太陽の舌がバカなんだろう。

美味しいお米にある旨味は、きっと甘さなんかだけじゃない。香り、後味を想像すると伊武雅刀みたいに興奮しちゃうな。

減反廃止でお米をつくる農家は超ブランド米競争とそこまで手をかけられなくなり飼料などに変えてしまう農家と二極化しちゃうんだろう。安くて美味しい国産米を食べるのはむずかしくなっていくのかな。いくら美味しくても外国産のお米は食べたくないな。

 

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はじめて買った仁多米でのごはん。

香りは理想とはちと違ったけど、歯触りがとても美味しいお米でした!