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正常バイアス

Untitled

 

 

この間、おもしろいことがあった。

 

花ちゃんと一緒に増上寺の盆踊りに行った時のことだ。(あれはもう半月前のことになるのか。夏が過ぎるのは早いな。8月も後半か)

盆踊りがすべて終了し、段差のないお寺の脇の坂道を帰り道に選んだ。少し急な下り坂で、ブレーキを握りながらゆっくり進んだが、後ろから露天で売っていたビールが入っていた金属の大きな樽をたくさん積んだ台車がやってきた。太鼓腹のような樽はいかにも不安定で、いつ転がってもおかしくない感じで、わたしはもしあの樽が横から転がってきて花ちゃんの車椅子に当たったらどうしようと思った。

わたしは以前テレビで正常バイアスについてのテレビ番組を見てから、危機管理についてちょっと気にするようになった。車椅子で地下鉄に乗り込むときの段差の不安もこれが原因だ。

そして3.11の大震災を経験してから(東京でだけど)、ちょっと近所に出かけるときでも携帯を持ち、外出時は必ず充電コードを持ち歩く。どこかで地震にあっても、携帯を持っていれば何かしらの役に立つ。瓦礫に閉じ込められても、何かしら発信できるかも知れないし、懐中電灯にも使えるし、食べられないけど重要なライフラインのひとつだ。

そしていつも何かが起こってもおかしくないと思うようになった。

 

お寺の脇の坂道で、ビールの樽の台車に嫌な予感を感じたので、わたしは車椅子を止め、その台車を先に行ってもらうようにした。安心して進みはじめると、その台車は道に停めてあった車にたどり着いたあたりで、案の定ガラガラ!と樽を転がしてしまった。

あー、こっちに転がってこないでよかったとほっとした。

 

車椅子を押して歩いていると、おなじ車椅子や、それも様々な形や乗る人の年齢も様々だったり、足の悪い人が多かったり、普段気づかないことに沢山気づく。

また意外だが、こちらに向かって歩いてくる人は、あまり車椅子だからって道をあけてくれないのに驚く。

 

わたしは花ちゃんに色んなことを楽しんで欲しい、刺激を感じて脳を活性化して欲しいと、街中に連れていくが、認知症の人の外出は多いのだろうか。

認知症カフェなんて行きたくない。なら一緒にスタバでも行く。

迷惑を掛けてしまうような場所はまずいと思うが、花ちゃんがあまり疲れない限り、楽しいお出掛けをしたいと思う。

安全な範囲内で。